「回転する円錐の内部でスキ−ができる。
意地悪な係員が円錐の回転数をランダムに変化させ、 人工斜度が大幅に変化するので初心者は注意しなくてはならない。
時には回転数0、つまり斜度90°で無重力になりスキーが浮いていまうこともある。」
それは科学の誤解だと思う。
遠心重力スキーは、宇宙空間に浮かべた巨大な円錐を回転させて、その内側にできる人工斜面を利用した架空のスキー場を描いたものだ。
リアルさを出すために、まず力学的なシミュレーションプログラムを作って実験を行った。
円錐の角速度と重力効果を調べていたら、偶然に弾道が面白い軌道を描くことを発見した。
例えば、このスキー場で雪玉を投げると空中で奇妙なループを描くのだ。
その軌道はスキーヤー自身にも当てはまる筈で、ある方向へ勢い良くジャンプすると、慣性力によって長距離の滑空が可能なことが解った。
さっそく、これを「コリオリの飛行」と命名した。
コリオリの飛行は、遠心重力スキーの中心的な魅力となったが、初心者にとっては危険なため、飛行注意の立て札が設けられた。